mental case(strawberry)

早くからどこか、学び舎のようなところに隔離されていた私たちは、外の世界で蔓延しているウイルスの正体を知らない。ただ、早い段階から「あなたたちはここにいてはいけない」と何も知らされずに連れて来られた。私たちの共通点はクリエ…

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女性は怖い。

 とある女性と男性は恋仲だった。しかし、その男性は気が多く、女性はいつも不安定だった。 場所は、よくあるホテルの一室。だが、その空間は女性の心の歪みを反映するかの如く、廃墟と化していく。 付き合いの長さと反比例して減って…

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そして歴史は繰り返す。

 誰も手が付けられない荒くれ高校生がいた。殺人以外の悪い事なら全て経験した様な。 彼には唯一の肉親が母親しかいない。父は物心つく前にいなくなっていた。 その母は不治の病に侵されていて余命幾ばくもない。 何かをしてやりたい…

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生命の樹。

 私は、独りきり。  いつから。  気付いた時には。  絶対安全を約束された10ヶ月余りの仮住まいを出た時には、既に。  羊水に塗れた私を、天の恵みの雨は降り注いでますます私を孤独に溺れさせた。(泳ぐのは胎内だけで沢山な…

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電話の相手。

  目が覚めた時、機嫌は最悪の状態だった。何故かと云うと添い寝をしてもらっていた携帯電話が耳許で煩く鳴り響くからだ。 今日は休日。なので、目覚ましをかけていない。勿論、この音は目覚めを促す物ではない。 では、一…

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子供達と大人達。

 彼女は、所謂ぶりっ子だった。 しかし、自覚はない。 彼女は、自分が可愛いとは思っていなかった。 しかし、周りはそう思わなかった。 矛盾が彼女の命を救う。  大人と子供が対立してから、1週間ほどの時間が過ぎた頃。 学校は…

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ねことねずみ。

  事の始まり。  母親に手を引かれて歩く子供が立ち止まり、空を指差した。 そこには未確認飛行物体と思われる球体。ゆっくりと、球体は親子の近くに音も無く落下してゆき、やがて地面に着地してただの球体に変わる。 母…

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悪夢からの救出劇。

 小学校1年生の時の先生と知らない同級生たちが現れる夢。 知らない土地に連れて行かれる。 私は退行していると云うのに現在の恋人の事は覚えていて、この謎の行事が終わったら恋人に会いに行こうと思っていた。 そんな暢気な事を思…

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そこに、君はいるのに。

 気がつけば、私は手入れが全くされてないトイレで、立ち尽くしていた。少し顔を上げればそこには血を流して動かなくなった、小さな女の子。と云っても、血液は既に酸化して虫が涌いている。今さっき命が潰えたわけではないらしい。 『…

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