ねこは名前を覚えます。

「……ミケ」
「ひゃう……っ、し、しざきさん……っ?」
 中のいいところを擦ってやりながら、耳許に吹き込むと面白いほどミケの身体が跳ねた。
「ミケも、名前で呼んで?」
「やあぁ……っ、な、突然……あうぅ……っ!」
 くにくにと膨らんだ部分を揉んでやると細かく中の粘膜が痙攣して吸いつくようだ。絶頂に達しないように敢えて指をそこから離すと期待に甘くとろけていた声が拗ねるような響きに変わる。
「やだぁ……ししざきさ、」
「違うでしょ?」
 咎めるように耳朶に歯を立てるとひくひくと軽く身体が痙攣する。感じやすいのも考えものだ。仕置きが、まったく意味を成さないのだから。
「……お、さんっ……なおさん……っ!」
「……お利口さん」
 焦らしていた分容赦なく腫れた部分を擦り上げると甘い悲鳴を上げて、絶頂しながらはしたない水を迸らせる。
 褒めたところだが、ここは指摘してやった方がミケの被虐心が擽られるだろう。
「また、お漏らししちゃったの?」
「やっごめ、ごめんなさい……っ、も、気持ちいのいやぁ……っ」
 擦れば擦るほどびちゃびちゃと手とシーツを濡らしていく。
 初めてミケをこの部屋に連れてきた日はお持ち帰りすることを想定していなかったため、後始末に苦労した。それ以来は防水シーツを敷いているので、特に問題はないのだがミケには話していないのできっと快楽と申し訳なさとの狭間で戸惑っているだろう。
「やっぱりミケは、悪い子だね」
 そのままするりと奥の可愛い部分を撫でてやるとぐぐっと中が狭くなる。
 本当に男として生まれなかったことをこれほど後悔する瞬間はないだろう。指ではなく性器で欲望のままに貫いて、この肉に扱き上げられる様を想像する。
それは堪らなく心地好いだろう。そして精液を吐き出して、孕ませてしまいたい。
 そんなことを想像していると興奮に股の間が滑ってくる。
「な、おさん……っ、すき……なおさん……」
 法悦の沼に沈み込んだミケがうわ言のように漏らした。
 ああ、なんて愛おしい生き物だろう。
 私の名前を呼ぶたびに、思い出せばいい。
 こうして身体の奥まで暴かれて、戦慄き、悦びの涙をこぼしながら、私のためだけに鳴く夜を。