「……これって、どういうことかな。」
いつものように業務を終えて比留間の部屋に行き、夕食を共にした。
後片付けを終えた比留間は風呂に入っていて、部屋には俺一人だった。
そんな時比留間の電子端末が振動し、誰かから連絡が来たようだった。別に、疑惑の念も、探りを入れようとする気もなく何となくその画面を見たら、衝撃的な言葉が書いてあった。
『すっごいよかった! 今度も108ペットENでよかったりするの?www』
続いて届いた写真はネコ族のオスと、顔は隠しているもののはだけた胸元は見覚えも、感触もよく知る比留間の身体で、カッと頭に血が上り暴力的な思考が広がっていった。
「尚さーん、お風呂空いたよ。」
まるで何事もなかったかのように風呂から上がって来た比留間はオスの時に着ていたシャツ一枚だけを羽織った無防備な姿で、俺に近づいて来る。
「……あ。」
比留間が俺が端末を見ていることに気づいたようで、さっと視線をそらして離れようとしたところを腕を掴んで引き止めた。
「なあ、これってどういうことだ?」
「どういうも何も……そのまんまでしょ?」
「……へえ。」
まったく悪びれた様子もなく答える比留間に僅かに残っていた良心もかき消され、乱暴に肩に担ぎ上げて大股で歩いてベッドの上に投げ飛ばす。
ポケットから財布を取り出してちょうどあった108ペットENを投げつけ「ほら、これでいいだろ。」と馬乗りになると「はあ……まあ……。」と煮え切らない返事をする。
「こんな端金で他のヤツにヤらせるなんて……本当にお前ってヤツは……。」
「淫乱なメス猫だ。」と強めに獣耳を噛みながら吹き込むと俺の下の華奢な比留間の身体びくっとしなるのを感じた。本当にどうしようもないヤツだ。
「何をした?」と訊ねると「胸で抜いただけだけど?」なんてあっさりと答える。「それで?」と更に問いを重ねると「それだけ」と云う。嘘を吐いているようには見えない。
「じゃあ、俺にもできるよな。」と語気を強めると「まあ……お望みなら……、」と少し躊躇いがあるのか指先を震わせながらボタンを外し、最近また大きくなったと感じる乳房を露出させた。
自分のメスに他のオスから手を出された。俺はそれだけで軽く勃起をして先走りを溢れさせていた。
比留間はそんな俺の状態を知ってか知らずか期待した表情で見ただけで勃っているのがわかる部分に視線を送って、もぞもぞと身体を起こそうとしていたので上から退いてやる。
「尚さん、自分は他のヤツと寝るのに俺が他のヤツとするのは嫌なの?」
よいしょ、と身体を起こしてベッドの脇の引き出しからローションを取り出して自分の胸に垂らした比留間はどことなく拗ねた顔をしていた。
「お前は俺だけのメスだろう。それに他のヤツに手を出されて興奮する質でもない。」
「ふーん……。」
感情の読めない顔でそれだけ答えると下を寛げて引っ張り出された性器は柔らかく温かな肉に包まれる。
瑞々しく張りのある乳房に挟まれて擦り上げられるのは挿入するのとはまた別な快感があり、じわりと先走りが滲み出る。
それを見逃さずに先端に口をつけてちゅうっと音を立てながら吸い上げるととろんと比留間の瞳が潤んだ。
そういえばメスになってから口淫をさせたことはなかった。ただでさえ小さかった顎がより細くなって先を咥えるだけで一杯一杯のようだったがそれでも乳をねだる乳飲み子のように甘く吸われると堪らない心地になる。
「そんな顔、見せたのか。」
「ん……そんらこと、ない……。」
まるでまたたびに酔っているかのように呂律が回らない様子で言われても説得力がない。
「ははっ、どうだか。」
完全に発情しきった比留間は独特な甘い匂いを発してもっと飲ませてくれと言わんばかりにぎゅっと圧迫を強めて擦り上げる。
そろそろいいかと出してやると尻尾も耳もピンと張り詰めさせてうっとりした表情を浮かべながらこくこくと飲み込んだ。
「……すごいな、舐めてただけでそんなに濡らしたのか」
「……っ! やっ、ちが……っ!」
身体を起こすと腰を高く上げていた体勢の比留間の太腿が見えて、内腿を愛液が濡らしているのが見えて思わず呟くとシャツの裾を引っ張って隠そうとする。
「まあ、108ペットEN分は楽しませてもらったし、それは自分でどうにかするんだな。」
「っ、う……や、やだ……尚さん……。」
「なに、俺はこれ以上出さないよ。」
「……要らない、から……して……。」
縋るような眼で、声でねだられると少し怒りが静まってくる。それでも簡単に許せば仕置きにはならない。
しばらく黙って見つめていると恥ずかしそうに眼を伏せてころんと仰向けで横になって膝頭を寄せたまま立てる。降伏のポーズ、と云ったところだろうか。
「尚さ……、おねがい……い、挿れて……?」
太ももを擦り合わせて少しでも快感を得ようとするいじらしい姿に心の中で破顔しつつそれを顔には出さず、膝を割開いて身体を滑り込ませる。比留間はすぐに太腿で腰を挟んで期待の表情を浮かべていた。
「で……、どうしてほしいの?」
「尚さんのちんこ……俺の、」
「ミケ、お前はメスだろう。ちゃんとメスとしてねだれ。」
「っ……、なおさん、の、おちんちん……お、わ……私の……お、まんこに……挿れてください……っああっ!」
上手にねだれたご褒美にまったく触れてもいないのに柔らかく解れている陰部を擦ってやると健気に入口をぱくぱく開閉させるのを感じて微かに笑ってしまう。
「……それで?」
「なおさんの、おっきいおちんちん……奥まで挿れて……いっぱいせーえき……孕ませてぇ……。」
「……いいの? 本当に孕ませるよ。」
「んん……いい……尚さんの赤ちゃん、できるまでいっぱい……、ちょうだい……。」
「っ……いい子だ。」
「あっ……はいっ、て……っふああっあっあ──っ!」
比留間の言葉や表情で挿入できるくらいには再び兆していたものを滑り込ませる。いつもは挿れたまま少し馴染むのを待っているが構わず最奥をぐぐっと押し上げるように突くと激しく背をしならせて全身をがくがくと震わせる。
「くっ……は、挿れただけでイッちゃったの?」
「あぁっ、やっ、待っ……イッて、る……まだイッてるからぁ……!」
「孕ませてほしいんだろ。突っ込んでるだけじゃ無理だし、止めるか。」
「っいやぁ……! ごめんなさい……尚さんが気持ちよくなる様にがんばるからぁ……」
「っく、う……!」
ただでさえ一滴も逃さないというようにべったり張りついていた粘膜がきつく締め上げてきて腰にずしんと重みが来る。
「あっ、う……あぁ……っ、う……っうぅ……っ」
それから何度か奥を突くだけでイッてしまうような状態だった。完全に無抵抗で、孕みたがっているメスなのだと認識してしまうと普段は眠らせていた獣の遺伝子が顔を覗かせる。
──本当に、孕ませてしまえと。
「やぁあ……な、おしゃ……やだ……。」
ゆっくり性器を引き抜こうとすると腰に脚を絡めて阻もうとする。
「止めないよ、後ろからしたいだけ。」
「う……や、顔……見ながらがいい……。」
ほとんど意識がないような状態に見えてそんなことを考えていたのかと驚きつつ本能には抗えず、その可愛いおねだりは却下する。
「後で、ね。」
「うう……。」
大人しくいうことを聞いて脚を解いた比留間の身体をうつ伏せにするものの力が入らない様子で腰を掴んで上げさせると、ますます欲望に火が灯る。
「あ……ッああ、あやっ、深……っあ、ああ、ぁあっ!」
「っミケ……少し声抑えて、聞こえるよ」
「あ、んっむりぃ……っあ、うぅ……っ!」
「まったく……はしたない子だと思われるよ」
「っいい……私は、尚さんにおちんちん挿れられただけでイッちゃう……尚さんのメスネコだからぁ……っ!」
「ふっ……確かに、間違ってない。」
「やっん、おっぱい……だめぇ……っ。」
腰を片腕で持ち上げて動きに合わせてたぷたぷと揺れていた胸を少し強めに揉みしだくとぐぐっと中が狭くなる。
乳輪を撫でると普段は隠れている乳首がぷっくりと出てきて親指と人差し指で挟むと「だめぇ……」と声に涙が混じる。
存分に中を捏ね回してそろそろ頃合いかと背後から覆い被さって柔らかな尻に自分の恥骨を押しつける。
「いい……ミケ、そろそろ出すよ」
「あ、うっ……出してぇ……っ、奥に……いっぱいかけてぇ……っ!」
「いいよ……っ」
「っあ……っきゃ、う……っ! あっ、熱い……っお腹熱い……っ!」
ぎゅぎゅっとすべて搾り取るように粘膜が動くのとは別に下腹部をぶるぶると痙攣させる。汗と混ざった甘い匂いがする項に強めに噛みつくとびくっと全身が跳ねた。もうどこを触れられてもイけるくらい高まっているのだろう。
絶頂の波が落ち着くまでそのままでいて、性器を抜いてもあまり中から残滓が溢れてこなかった。
「あ……、ん、んん……。」
ごろごろと転がってより孕みやすいように動いているのは比留間もセキララモードになっていたからなのだろうか。
俺につられたのか、そもそも比留間が先にそうだったのか定かではないが。
「……尚さん」
「ん?」
とろとろにとろけた瞳で俺を見上げながら呼ぶ声も、また甘い。
「やっと……尚さんが抱きたいように抱いてくれたね。」
「え……?」
「だって尚さん、ずっと俺に気遣って優しくしてたじゃん。」
「そんなことは……、」
「……まあ、俺は激しい尚さんも嫌いじゃないよ。」
「…………。」
「ね、一回じゃ……ちゃんと孕んだかわかんないよ?」
「……そうだな。」
先ほど比留間が望んだように正面から身体を重ねて、赤く色づいた唇を吸った。
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