「ミケ……僕もうそろそろ……」
「ふ、まだ我慢してな……? これだけでイッたらつまんないだろ」
カリソメ飼い主のいう「ケモノのような眼」を向けたままベッド脇の引き出しから避妊具を取り出して封を切ろうとするとカリソメ飼い主の手がそれをやんわりと制止した。
「どうかしたか?」
手を止めて今にも射精してしまいそうなほど張り詰めているものの先を軽く撫でると「きゃんっ」と高い声で喜ぶ飼い主を密かに可愛らしいと思いながら言葉を待つ。
「きょ、今日は……ミケの中に出したいなって……何でだろう、僕もミケみたいにケモノみたいな気分なのかな?」
辿々しいカリソメ飼い主の言葉に身体の中で震える雄の感覚を思い出して思わず尻尾が膨らんでしまう。
「……は、ンな可愛いこと云ったら一滴残らず搾り取っちまうぜ?」
自分は今どんな表情をしているだろうか。しかし今は止められそうにない。
避妊具をシーツの上に投げ捨ててカリソメ飼い主の身体に覆い被さり、そのまま唇を深く重ねる。
「……入れただけで出すなよ?」
口づけの合間に低く掠れた声で呟いてそのままカリソメ飼い主のものをゆっくり飲み込んでいく。
確かに熱があり弾力のある肉が身体の内部を埋めていく感覚に始めから思うままに腰を動かしたい欲求に駆られるが本当にすぐ果ててしまいそうな相手の様子にぐっと堪える。
もう少し楽しみたい。それに焦らされればそれだけ最後に得られる絶頂の感覚も深いものになる。
そう思って奥まで咥え込んだままじっと飼い主の射精感が遠のくのを待つ。本当に三擦り半で終わられてしまっては意味がない。
「ん、ミケも興奮してるの……? いつもよりぎゅうぎゅうって、食べられちゃいそう」
「はは……っ、そんな口叩けるならもういいか? 動くぜ」
「きゃあぁっ、ミケっ、ちょっと待って……最初から激しすぎるようっ」
「俺、ネコだろ? 待ては得意じゃないんだ…っあ、従順なのが好みならっ、知り合いの健気なイヌ紹介してやろーか?」
「やっ、やだ……! ミケが、ミケがいい……! どうしてそんな意地悪云うのっ?」
「んっ……わりぃ、ちょっといじめたくなっちまった、は……っ、拗ねんなよ、ほら」
奥深くに咥え込んだまま唇を重ねる。それだけに飽き足らず口を開いて飼い主の口内に舌を入れると予想外に甘く吸われて尻尾の付け根が疼く。
「ん……っふ、あっ……やば、それ気持ちい……」
「ふふ、わかるよ。ミケの尻尾もこっちも嬉しそうにピッてしてるから」
「んあっ、ばっ尻尾は触んなって云って…あ、っふん、んんっ……!」
前に触れるように尻尾もゆるゆると扱かれると身体から力が抜けて意図せず飼い主に縋り付くような体勢になる。じわじわと募る快感に我を忘れて声をあげてねだりたい衝動に駆られた。もっと気持ちよくなりたい。何もかも忘れて無になりたい。
「ミケ、泣いてるの?可愛い……もっと気持ちよくしてあげるね」
「あっ、っく…ぅ、もっと、奥まで……っ」
ねだるように揺れる腰を止められない。より深くまで犯されたくて頭がおかしくなりそうだった。
「はあ、ミケすごい……締め付けてくる、もうそろそろいい?」
「んんう、いい、ぜ……出しちまえよ、俺の中に全部…」
吐き出される感覚を思い出すだけでたまらない気持ちになる。オスであるのに同じオスに犯され種付けされる。その状況だけで被虐的な気持ちを煽られて胸が切なくなる。
一際大きく膨らんで弾けた瞬間、意識せず身体が痙攣してふわっと意識が軽くなる。イッていると気づいた時には自分の声とは思えないほど甘ったるい鳴き声をあげていて眼を瞑る。
「すごい……全然触ってあげてなかったのに、って出てない……? え、ミケってコッチだけでもイけたんだ?」
「んっ、うるせぇよ……って、やめっ今触んなっ…あっあ、やめ……っ!」
善意でやったのだろうがまだ後ろでの快感が続いている状態で前まで触られると『あの癖』が出てしまいそうだった。というよりも最早条件反射のようなものかもしれない。
「わっ、すごっ…さらさらしたのいっぱい出てくるよ? 気持ちいいの? これ、出すの気持ちいい?」
興味津々といった様子で触られ続けるとそれだけ液体も止まらず吹き出し続けて止まらない。答える余裕もなくただ頭を振って停止を求めてもその意図が正しく伝わっているのか定かではない。
「なんかいつもと違うミケ見て興奮しちゃった……またいいよね?」
「はっ、あぁ…っ、やだっても……どうせヤるんだろ……?」
「もちろん」
上下が入れ替えられて見下ろしてくる飼い主の瞳がやたらぎらぎら光っていて、これではどちらがケモノなのかわからないと思いながら無駄な抵抗を止めて快楽の波に身を委ねた。
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