『手を繋いで照れくさそうにする』『なおみけ』を描きor書きましょう。
#kawaiiCP
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「わあっ」 「おっと……」 今日は二人きりで残業を頑張ったので外食で済ませようと近所にある飲食店に寄った帰り道。 歩き慣れた平坦な道で躓いてしまいふらついたところを、尚さんが腰に腕を回して支えてくれた。 「無理させちゃったかな、ごめんね」 「あ、いえ……新しい靴にまだ慣れてなくて」 通販サイトでデザインに一目惚れして買ったものの、少しサイズが合わなかったようで時々踵が浮いてしまうのだ。 「ああ……そういえば見慣れない靴だと思った、似合ってるのに残念」 そう云って尚さんは太ももの裏に腕を回して易々と私を抱き抱えた。驚いて思わず声が裏返る。 「なっ、尚さん!」 「痛いでしょ?」 こうしていわゆるお姫様抱っこをしてもらうのは好き。だけどいつ誰に見られるかわからない外では落ち着いて身を預けることができない。外で人目を気にせずいちゃつけるほど心が逞しかったら。いろいろとここまで拗らせることはなかったかもしれないと、どうでもいいことが頭を過ぎる。 「ガラスの靴がないシンデレラを裸足で帰らせるのは可哀想だと思わない?」 「えっ?」 何のことだろうかと尚さんの言葉を繰り返し反芻して理解ができた時、恥ずかしさに頬が火照った。確かに今お姫様抱っこをされているわけだけど、本当に童話のお姫様に例えられると気恥ずかしい。でも尚さんに云われると心がそわそわして、夢見心地な気持ちになってしまう。 誰でも好きな人のお姫様、なんて云うけど、そんなロマンチックなことを実感させられるなんて甘くて眩暈がする。 「大丈夫です、そこまで痛くないので……」 でも、これは私だけの大事な宝物。だから、見せびらかしたりせず二人きりの大事な秘密にしたい。 尚さんは「そう?」と少し残念そうに云いながらそっと下ろしてくれて、地面に足をつける。やっぱり少しふわふわしていて、酔っ払っているような浮遊感。確かに尚さんの言葉には酔わされているかもしれない。 「じゃあ、手繋いで帰ろう」 手首から手のひらへと尚さんの指先が辿って、絡められると胸が高鳴ってそわそわしてしまう。指先から伝わる尚さんの体温は心地好くて、少しくらいなら大胆になってもいいかもしれない。 「……はい」 ぎゅっと指先に力を込めて握り返し、一緒に歩き出すと不思議と足の痛みが軽くなった気がした。 王子様で、魔法使いみたいな尚さんに私はまた恋をしてしまうのだった。